死にたがりな君と、恋をはじめる
「……いじめだよ」
私がそう言うと、幽霊は黙った。
暗い雰囲気が流れるのが嫌で、私はいたって普通の口調でさらっと続けた。
「家庭内でのと、……学校で受けてたの」
『家庭内?』
いぶかしげに眉をひそめられて、はっと乾いた笑いを漏らした。
「まず最初に家庭内でいじめが起きて、
それで自分の家に居づらくなって……この家、誠おばさんの家に来たの」
『誠おばさんって、奈月の親戚か何かなの?』
「そう、母親の妹」
『おばさんはいい人そうだね?』
その言葉にこくりと頷く。
おばさんは本当にいい人だ。
私の面倒を見るなんて本当は面倒だろうに、快く私のことを迎えてくれた。
幽霊の疑問に頷いて、話を続ける。