死にたがりな君と、恋をはじめる




そういうと、誠おばさんは少し眉を上げて、それから頷いた。















「そうだね。……じゃあ、いい子だからここで待っていてね」









『いや。俺が運ぶよ』













「え?」















怪訝そうな顔をする誠おばさんに、俺は人差し指をくいっと動かした。















すると、奈月を抱き上げていた誠おばさんの腕から、奈月の身体がふわりと浮かんだ。














そのままふわふわと浮かべたまま奈月の部屋へと速やかに運ぶ。














ベッドに横たわらせ、その上からそっと布団をかける。















運び終わってから誠おばさんを振り返ると、彼女は目をまん丸にして見つめていた。














その表情があまりに間抜けで、俺は笑いをこらえられずにぶっと吹き出した。












あ、やべ。












慌てて口元を押さえると誠おばさんはつられたようにフッと笑って、階段を下りた。













おばさんについていき、促されるままにリビングの席に着いた。













『……それで、何の話をするの?』









そう問い掛けると、誠おばさんは目を伏せる。















「私が聞きたいのは……あなたの事と……奈月ちゃんの事よ」
< 129 / 136 >

この作品をシェア

pagetop