死にたがりな君と、恋をはじめる
誠おばさんが頷くのを確認し、話を続ける。
『奈月は自殺をしようとした、じゃなくて、実際にしたんだよ』
「……え?」
さっと顔を曇らせたおばさん。
「え、それ……どういうこと?」
『詳しく言うと……学校の屋上から飛び降りた奈月を俺がさっき見たいに浮かばせて助けたんだよ』
指をくいくいと動かしてジェスチャーすると、誠おばさんはくっと唇を噛み、それから頭を下げた。
「……それは、ありがとう。君がいなかったら、もう奈月ちゃんはいなくなっていたんだね」
『……どういたしまして』
そういい、もう話すことはないと口を閉じる。
すると誠おばさんはすっと顔を上げ、怪訝そうな瞳をこちらに向ける。
「……いや、で?」
『で、とは?』
続きを促されて、俺ははてと首を傾げた。
「いやいや、馴れ初めはわかったけど……結局二人の関係は何なの?」
『え、だから、命の恩人と、助けられた人の関係だよ?』
それ以外に何かあるとでもお思いですか?
そんな意味を含ませ、眉を上げる。
「……それじゃあ」
「え?」
誠おばさんは声のトーンをあからさまに落とし、俺の瞳を覗き込んだ。
まつげの影を落とした瞳が照明に照らされてきらりと怪しく輝く。