死にたがりな君と、恋をはじめる
『……』


「……何。レイが真面目な顔するの変な感じするね」





さっきは冗談を言っていたのに、今は相反して、

真面目な顔でじっとこちらを見つめるレイに、私はふっと笑った。





……ほんと、変な感じ。






レイは私の横に座ると、何かを言おうと口を開きかけ、……やめた。



それを見て、私はますます笑いが止まらなかった。







「レイ、また止めるつもり?」


『……止めないと思う? 俺そんなに冷酷じゃないよ』


「幽霊なのに?」






幽霊のくせに、自殺するなとか、冷酷じゃないだとか、変なの。





あははっと明るい声を漏らした私に、レイは静かに声を漏らした。






『……奈月はさ、なんで死にたいの?』


「……え?」



レイの声に、私は目をぱちぱちと瞬かせた。






「なんでって……前にも言ったし、今日も見たでしょ?」



なんでそんなこと聞くの?




私は静かに俯いて、下唇を嚙み締めた。




私は、今日の田中の言葉に、反論できなかった。




だって、正しいと思ったから。




それが悔しくて、悔しくて、私はバッと顔を上げて叫ぶように続けた。




「私は、死ぬしかないの。生きても、仕方ない、そんな人間だって世の中に入るんだ。

そうわかっちゃったんだから、仕方ないでしょっ⁉」







私は、将来大人になって、一人で生きていくビジョンが、まったく見えなかったんだ。




……そんな私は、生きていても、何にもならない。



死んで、逃げるしか、できない。





『……違うでしょ』


「え……?」
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