死にたがりな君と、恋をはじめる
『どうせ死ぬんだったら、俺とデートしない?』

「え……?」




にこにこと笑いかけてくるレイと、その発言に呆然とする。



黒い綺麗な瞳が、まっすぐに、こちらを見つめた。





サラリと風に揺れた黒髪に、時間が過ぎるのが、

遅くなっているような錯覚を覚える。






そして、数分経って、ようやく高速で瞬きを繰り返し、しばらくの間その場で凍り付いた。







デート……?



……え、デート?




「え、えぇっ⁉」







急激に熱を持った頬を両手で抑え、レイを見つめた。





デートって、何が目的⁉




て、いうか、私とレイが……⁉




どきどきと波打つ心臓の音を聞きつつ、私はただレイを見つめることしかできなかった。
< 51 / 136 >

この作品をシェア

pagetop