死にたがりな君と、恋をはじめる


「……ぁ」




『あ?』








声を漏らすとレイは不思議そうに眉を上げて、こちらの顔を覗き込んだ。










『あ、何? 奈月』






「あ……」







言おうか数分悩んで、それから意を決して立ち止まる。






『奈月……?』



「あ……レイ、あのね」








こちらを振り返ったレイの顔をじっと見つめて、口を開いた。











「レイ……ありがとうっ」





『え……』











半分勢いで言うとレイは目を大きく見開いて、それからパチパチとゆっくり瞬きした。







『……』



「い、いやっ。あの……」








黙ってしまったレイに、慌てて弁解する。







「私、人に話を聞いてもらうだけで気が楽になるって、今日初めて知ったの。だから……知るきっかけになったレイには感謝したいなって……」






『奈月……』








レイはそう言う私をじっと見つめ、驚いたように呟いた。







私は眉を下げて笑うと、再度感謝を述べた。









「だから……ありがとう。レイ」








それからレイはしばらく何も言わずに黙っていた。






俯きがちだからその表情を伺うこともできない。






沈黙が気まずくて、私は髪の先をくるくると弄んだ。








そして、ぱちんと両手を打ち鳴らし、レイの顔を覗き込んだ。








「さっ、遅くならないうちに帰ろ?」






『……奈月』









そういったとたんレイが顔を上げて、私の顔をじっと見つめた。
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