イジメ返し―連鎖する復讐―
「10分休憩してーー!!」

練習に一区切りがつき、ノエルの掛け声で学年ごとに分かれて体育館の床に座り込んで休憩を取る。

3年はあたしを含めて6人だ。

その輪の中心にいるのは2か月も部活を休んでいた瑠偉だった。

「瑠偉がいなくて寂しかったよー!!」

ノエルの金魚のフンである海荷が瑠偉に猫なで声を上げた。

海荷はいつもこうやって誰かしらの機嫌を取っている。

それに続くように美香と真子が「うちらもー!」と騒ぐ。

「ごめんねぇ。でも、これからはちゃんとくるからっ」

「謝んないでよ~!ケガなら仕方ないよ!!」

「ふふっ、ありがとっ」

瑠偉を中心に輪になって話す5人とその輪の外でポツンっとスポーツ飲料を飲むあたし。

なんか一人ぼっちにされているみたいで心細い気持ちになる。

「ねぇ、次のメニューなんだけど――」

輪の中に入れてもらおうと声をかけた瞬間、

「――やば、もう10分経つ。行くよ!!」

ノエルがあたしの声を遮った。

「よーし、いこっか」

周りの子達が一斉に立ち上がる。

あれ。今の聞こえてなかったのかな?

次の休憩で自然と輪に入っておしゃべりができるように、あたしはみんなのボトルの近くに自分のボトルをそっと置いた。
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