イジメ返し―連鎖する復讐―
「アンタたちがあたしにしてることは拉致、監禁だから。犯罪なの。アンタがあたしにイジメられたって証言するよりももっとやばいことをアンタはやってんのよ!?」

大声で叫ぶと、エマがクスっと笑った。

「大きな声出しても無駄ですよ。ここ、以前検査室だった場所で防音なんです。いくら先輩が泣き叫んだところで助けはきませんからね」

エマはやわらかい笑みを浮かべて諭すように言う。

口調とは裏腹にその目はひどく冷めきっているように見えた。

まるで感情のない真っ黒な目に背筋に寒気がする。

「アンタたちの目的はなに……?あたしが咲綾をイジメた報復でもする気!?」

「そうだよ。これからノエルにイジメ返しをするから」

「こんなことして絶対に許さない。アンタたちがしたことを公にしてやる」

あたしが二人を睨みつけると、二人は互いの目を見合わせて笑った。

「許すも許さないもありませんよ。先輩はここから出られませんから」

さも当たり前のように言うエマの表情に揺らぎは見えない。

「死ぬまでここにいるんです」

にこりと笑うエマにごくりと唾を飲みこむと、ブーンッという音が響いた。

「なに……それ……」

思わず固まった。咲綾が手にしていたのはバリカンだった。

「バリカンで刈るものっていったら、髪の毛しかないでしょう?」

咲綾が笑みを浮かべながら近付いてくる。

「まさか……アンタ、本気じゃないよね?今だったらまだ許してあげるから!早くあたしを開放して!」

「許してあげる?この期に及んでまだ自分の立場が上って勘違いしているの?」

「お願い、やめてよ!!」

「あたしも頼んだよね?体育館倉庫でやめてって泣いて必死にお願いした。それでノエルはやめてくれたんだっけ?」

ふざけるな!あれはイジメだ。

でも、これは犯罪だ。こんなこと許されるはずがない。

「……不服そうな顔だね?イジメを軽んじないでよ。あたしはね、心も体もアンタ達に殺されたの」

「イジメは……イジメでしょ!?確かに悪いことをしたとは思ってる。それは謝るし!でも、これは犯罪だから!!」

目の前に咲綾がやってきた。

「――なに言ってんの?イジメも犯罪だよ」

そして、咲綾はなんの躊躇もなくあたしの前髪にバリカンを押し当てた。

バリバリと前髪の毛が刈り上げられる音がする。

バリカンから逃れようと必死に顔を動かすと、前髪がバリカンの歯に絡まって停止した。
< 217 / 252 >

この作品をシェア

pagetop