イジメ返し―連鎖する復讐―
「あの、先生……?どうしてこんな暗いところに?」

部活後にここにやってくる人間はほとんどいない。

ちょうど校舎からも体育館からも死角になるこの場所にどうしてあたしを?

「バスケ部のみんなに聞かれたくないこともあるだろうと思ってな。俺なりの配慮だよ」

「……ありがとうございます……。それで、話の続きなんですが……」

「――なぁ、深山。俺だって瑠偉を選んだのは苦肉の策だったんだ。深山が頑張ってるのを俺は知っていたからな」

「先生……!!」

あたしの頑張りに気付いてくれていたなんて。

喜びのあまり思わず目を輝かせてしまったあたしに折原先生はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。

「だから、深山の出方次第では考え直すかもしれないぞ?」

「あたしの出方?」

先生はそっとあたしの頬に手のひらを当てた。

「せ、先生……?」

「若い子はスベスベだなぁ。もっと触ってみたくなる」

「え……?」

思わず後ずさると、先生は再び距離を詰めてきた。

「ひっ……」

目の色を変えて迫ってくる先生に恐怖を覚える。

「深山、今日俺がマッサージしてあげよう。1時間後、部室に――」

「こ、この変態教師!!」

あたしは折原先生の顔を思わず平手打ちした。

パシンッという乾いた音があたりに響き渡る。
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