イジメ返し―連鎖する復讐―
「神宮寺さんって２年生……？」

部室の長椅子に座りながら隣にいる彼女に問いかける。

スラリと長い手足。整った綺麗な顔立ち。長いまつげ。薄い唇。

緩くウエーブしている髪の毛から甘い香りが漂ってくる。

見た人すべてを虜にするような美少女だ。

ここまでの美人をあたしは今まで見たことがない。

隣にいるだけでドキドキしてしまう。

「はい」

「そっか。あたしのことは知らないよね。あたしは――」

「深山咲綾先輩、ですよね」

「どうしてあたしの名前を……？」

まさか２年生にまであたしがイジメられている人間だということが伝わっているんじゃ……。

体を強張らせるあたしに彼女はにこっと笑いながら答えた。

「バスケット、とっても上手だから。体育館で咲綾先輩がプレーしているのを見たことがあってカッコいいなって。それで知っていたんです」

「あぁ、それで……」

まさか彼女のような人にプレーを見られていたなんてなんだか妙に照れ臭い気持ちになる。

でも、ちょっと嬉しい。けなされることは多いけど、褒められることなんて最近は全くなかったから。
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