イジメ返し―連鎖する復讐―
「まさか神宮寺さんみたいな有名人に知られてたなんてちょっとビックリ。でも、あたしはもう前みたいにプレーすることはできないの」

「エマ、でいいですよ」

エマはにっこり笑って言うと、言葉を続けた。

「それは先輩が倉庫に閉じ込められていたことと関係があるんですか?」

「……うん」

「部活内イジメですか?」

「そう。ここまで派手にやられたのは初めてだった。今までは無視とか悪口とかだったから我慢してたんだけど……。今日はこれだから……」

体のあちこちにできた傷をそっと指先で触れるとジンジンと痛んだ。

エマに借りたタオルも鼻血で真っ赤に染まってしまっている。

「さすがに心折れちゃったんだよね」

ははっとあえて明るく振舞う。

今日初めて言葉を交わしたばかりのエマだってこんな暗い話をされたら困るに違いない。

すると、エマは真っ直ぐあたしを見つめた。
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