君、思う。[短篇]
健司と繋がれていた手がいとも簡単に離れる。
「…っ。」
「彼女ってなに?誤解って何だよ。」
真っ直ぐと鋭い視線が私に向けられる。ぐっと握られた腕が少しだけ痛かった。
「さっきの子、彼女でしょ?」
「…は?」
浩介の腕に
手を回し、笑顔を向けていたあの子。
親しくなきゃ
あんなこと、出来ないじゃない。
浩介の力が弱まった。
その隙にふっと手を抜く。
「私となんて、帰っちゃ駄目だよ…」
気付いている?
私の目からはもう涙が溢れそうなんだよ。
こうして、こうやって
浩介と向き合えるのは…
多分、これが最後。
「愛莉。」
「…じゃあね。」
私は浩介に背を向け
早足にその場を離れようとした。
「他の奴と、」
…え?
そんな私に向って
浩介が大声を上げる。
これでもかってくらい
大きな声で、私に叫ぶ。
「手なんて繋いでんじゃねぇよ」
「…え?」
何、言ってるの?
そう思った次の瞬間も
浩介は私の背中に向って声を上げる。
「愛莉は…俺のだろ!?」
「っ」
どきん。
愛莉は…俺の?
ねぇ、
それは…どういう意味なの?
カタカタと肩が震えた。
目からは涙が流れた。
そんな様子を、
黙ってみていたのは、健司だった。