🩸狂い切ったヴァンパイア🩸
「……じゃあ、始めようか」

私はゆっくりと玲くんに立たされる。

ウエディングドレスや花、おまけに綺麗な靴まではかせられた。

「……じゃあ、どうぞ、来てくださいお姫様」

そう言った玲くんは、綺麗な満月が見える大きな大きな窓の前で、そう言った玲くん。

「あっ……え、えっと……」

思わず玲くんの方に歩いて行く。

いつしか玲くんの正面に立っていて、玲くんとぱっちり視線が合う。

「……僕と、ずっと一緒にいてください、来世も、その次も、なにがあっても」

「は、はい……!!」

こんな恥ずかしいことしたくはないけれど、それでも嬉しいから、ついそう答えてしまう。

すると、玲くんは私の頬に手を当て、顔を近づける。

私の顔はたちまち赤くなるけれど、思わず目を瞑る。

「ふふふ、なーんってね。ちゅーなんかしないよー」

「……えっ……?」

なんでこんなに悲しいのかはわからないけれど、虚しさでいっぱいになる。

「ん?なぁに?」

「なんれも、ないっ……」

なぜだかわからないけれど、涙が目に込み上げる。

「帰るっ……」

「ん?なに言ってるの?」

そう言った玲くんは私の手首をすごい力でぎゅっと握る。

「や、やめ……」

「いま外見てみる?」

「……?」

どういうことかはわからないが玲くんと窓を見てみると……。

ドンッ!!!!!!!!!!!

「きゃっ……?!」

吸血鬼のような人たちが、窓を思い切り蹴ってきた。

「ふふふ、この窓は僕がちっちゃい頃からドンドン強化されてってるから、蹴ったって銃で撃ったって割れないよ」

「よ、よかった……」


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