もっと君に溺れていたかった
付き合いだしてからは、ラインで、Twitterで、たくさんお話しする日々が幸せだった。
でも、ネット恋愛だからこそ超えなきゃいけない壁があった。

私の家は母子家庭でお金がないからWi-Fiも彼の家みたいに飛んでなくて、ギガも少なかった。

毎日長時間スマホを触っていると当然ギガが減るのも早くて。
だから、彼にお願いをした。「今月、ギガがもうないから来月まで浮上しない、ごめんね」彼も私の家の事情を知っているから理解してくれた。

それからは、ちゃんとギガの使用量をセーブして、でもついつい楽しくて使いすぎちゃって無浮上の繰り返しだった。


でも、そんなある時「今度、会って一緒に遊ばない?」と誘ってくれた。誘ってくれたのは嬉しかった。
でも、また私の方に問題があった、私は超がつくほどの人見知りで顔にコンプレックスもあってあまりいい顔を示さなかった。のらりくらりと誘いをかわしていくと段々と彼も気がついて「僕と遊ぶの嫌?」嫌じゃない、むしろ遊んでみたい。
でも、私の家は母子家庭だからお母さんが頑張って働いたお金を私が楽しむために使いたくなかった。
母子家庭だったらバイトすればいいじゃない?なんて思う人もいるかもしれない

でも、お母さんは私のために学費を払ってくれているからバイトをしていると勉強が疎かになっちゃうからお金の無駄になる。

そう、考えるとなかなかバイトをしたい、彼氏と遊びに行きたいとは言い出しにくかった。


高校を卒業して自分の力でお金を稼げるようになったら会いに行こう、そして思いっきり遊ぼう、なんて悠長なことを考えてたら、とうとう陽の方が限界が来てしまった。
「ごめん、柚木のことは好きだけど僕と遊ぶことそんなに避けられたら傷つく。
だから、さようなら」

ネット恋愛だから、ネットだからこそ始まりが突然連絡も取れなくなって終わりも急にくる。

一番いけないのは私、陽の優しさに漬け込んで甘えていたから。
もっと陽の言葉を聞いていればよかった、お母さんに頼んでバイトをすればよかった。
そうすれば陽との未来も少し変わってたかもしれない。

頭をよぎるのはたくさんの後悔ばかり。

でも、後悔ばかりだけど楽しかったことも沢山ある。辛かった学校生活が一気に明るくなって幸せで、いろいろな経験をさせてもらった。

人として、彼女として未熟でダメダメな私。


もう二度と言葉を交わすことができないかもしれないけれど、


私は君に溺れてよかった。

君を愛することができてよかった。


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