魔王に見初められて…
「結愛、帰ろ?」
ニコッと微笑んだ、克樹。
先程の悪魔のような表情をしていたとは思えない。
全くの別人ではないかと思う程に、穏やかな笑顔を結愛に向けた。

「うん…あの、克樹だよね?」
「ん(笑)?そうだよ?」
「だよね……!
なんだか、さっきの克樹…別人だったから……」
「あーごめんね…あんな汚ない女が結愛に触ったのが、許せなくてつい…
ごめんね…怖がらせて……」
「ううん。私がちゃんと自分で断るべきなのに、怖くて言えなかったのが悪いの……
ごめんなさい…!」
結愛はペコッと頭を下げた。

そんな結愛の頭を撫でた、克樹。
「ううん。
でも結愛、あの女に嫌悪感…てゆうか、恐怖感示してたよね?何かされたの?」
「高校生の時に……よく嫌がらせされてたから、樹理に会うとその時のこと思い出して、身体が震えるの……」
「そっか…」
「あ、でも大丈夫だよ?今は克樹がいてくれるし…!」
「もちろん!ずっと傍にいて守るよ!」
「フフ…ありがとう!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日の昼休み。
「結愛、昨日大丈夫だった?」
「うん…」
「なんか樹理、律子のSNS見て来たらしいの」
「そうだったんだ…」
「結愛の彼氏のこと、凄く気にしてたよ?
まぁ…結愛の連絡先知らないから、何かされることないと思うけど……気をつけて!」
「ありがと」


でも━━━━

「お疲れ様」

「え……なんで…?」
どこから聞いたのか、樹理が結愛と華乃の職場に現れたのだ。
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