魔王に見初められて…
「結愛?どうした?
何があったの?」
腕を離し、結愛の顔を覗き込む。

「こんな自分が嫌になる。
もっと強くなりたい……」
今にも泣きそうな結愛。
その結愛の頭を撫でる、克樹。
「ゆっくりでいいから、話して?」

ソファーに並んで座り、克樹が結愛の両手を自身の両手で包み込む。
「樹理がね………」
高校の時のこと、今日のことをゆっくり話した結愛。
黙って聞いていた克樹が、再度頭を撫でて切なそうに結愛の顔を覗き込んだ。

「大丈夫。俺がいるよ?
俺がいる!」
「うん…ありがとう!」
「でも…赦せないね……その女…」
「え?」
「俺の結愛をこんなに傷つけるなんて……」
また克樹の雰囲気が、黒く淀む。

「克樹…?」
「ん?何もないよ!
それより…早く愛し合おう…!」
「え?でも、夕ご飯……」
「今は、ご飯より結愛が食べたい!」
そう言って、克樹に抱き上げられた。

ベットに下ろされ、組み敷かれる。
「明日…結愛、仕事休みだよね?」
「うん」
「俺も休みなんだ」
「そうなの?じゃあ…ゆっくりできるね」
「だから、今日からいっぱい抱かせてね!」
「ンンン……」
「結愛の不安なんて…忘れさせてあげるよ?」

「んぁ……はぁ…あ…克、樹…」
「ずっと…傍にいるよ…?
だから…もっと……俺に甘えて…?」
「克樹……手…手、繋ぎたい…不安なの…」
結愛の伸ばした手を優しく握る。
結愛の目から涙が溢れた。

克樹がその目元にキスをして、手を繋ぎながら果てた二人だった。
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