魔王に見初められて…
魔王の支配
「あれ?結愛様?」
あるビルの前で、村井が仕事中の克樹を待って車で待機している。
そこにたまたま別の仕事でなのだろう。
結愛が同僚男性と一緒に話しながら歩いていた。
「こんなとこ、若が見たら……」

そこへビルから克樹が出てくる。
今のところ、部下の岸本と話していて結愛の存在に気づいていない。

村井は、このまま結愛の存在に気づかないまま克樹が車に乗ってほしいと願っていた。

そして克樹が車の方に来る。
すかさず車のドアを開ける、村井。
「おい、どうした?
今日はやけに、開けるの早いな……」
「そうですか?」
「まぁ、いいや!」
そう言って、車に乗り込もうとする克樹。
そこへ岸本が“あっ!”と声を発した。

「あ?なんだよ!?岸本」
「や、いえ…何も……」
「は?なんだよ!?」
そう言って、克樹は岸本が見た方の方向を目で追った。

「━━━━は?結愛…?」
━━━━━━!!!!?

「アレ、誰だ?」
「さ、さぁ…おそらく同僚の方ではないですか?」
有無を言わさず、結愛の元へ向かう克樹。
その表情には、微かな怒りと苦しみが入り交じっていた。

「結愛!!」
「え?克樹?」
「何してるの?ソレ、誰?」
「え?あ、同僚の湯田さんだよ。今日、一緒に外回りのお手伝いだったの」
「ふーん。今、帰り?」
「ううん、今から職場に戻るよ」
「じゃあ…送るから、おいで?結愛」
「え?まだ一応仕事中だし、大丈夫だよ?
湯田さんもいるし」

「ダメだ!俺と一緒に来て?ちゃんと職場まで送るから」
克樹の表情に、絶対的な拒否を許さない何かがあった。

「わかった…湯田さん、ごめんなさい…続きは後から……」
そのまま引っ張られるように、車に押し込まれた結愛だった。
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