幽霊でも君を愛する
私の解説は、どうやら彼女を納得させてくれたみたいだ。これに関しては独学で学んだ事だから、受け入れられない相手がいても仕方ない。
ただ、彼女は霊になってからの経過が長いせいなのか、私の言葉をウンウンと頷きながら頭に入れている様子。

「牡丹はその中でも、特段干渉できる事が多い。
 これに関してはまだ私もはっきりとは言いづらいけど、ユキちゃんの場合、どうやら干渉はそれほ
 どできないけど、『ポルターガイスト』を引き起こす事はできるみたいだね。」

ユキちゃんの体が一瞬ビクッと飛び跳ねた。そして、私を睨みつけながらも、その場からは動けない状況に陥っている。
まさか自分の仕掛けた『火事』を見抜ける人がいたなんて、思いもよらなかったんだろう。
何故ならもう世間では、数々起きている火災の原因は、『タバコの不始末』や『乾燥による自然発火』と片付けているんだから。
でも、私は見てしまったのだ。今日の朝、大学へ行く最中、その火災現場が起きたアパートが目に留まった時に。
これも私の経験なのだが、幽霊が事件や事故を起こした場合、その現場に霊が集まって来るのだ。だから自然と、「あぁ、この件は『人為』でも『自然』でもないんだな」と、無意識に悟ってしまう。
何故その現場に霊が寄ってしまうのかは分からない。確かめようと思う気持ちもあったけど、「不用意に関わらない方がいい」と、牡丹に釘を刺された。
だから、私は以前から、この町で起きている不審火について、色々と調べた。案の定、『自然』に起きた事故とは思えない程、被害者には共通点があった。
突然の発火・深夜の時間帯
これだけ条件が揃えば、もう霊的なナニかが関わっていると考えた方が、色々と辻褄が合う。だから私はあえて、深夜にこの人気のない公園まで足を運んだ。
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