幽霊でも君を愛する
のんびりニュスサイトを眺めていたら、信号はとっくに青くなっていた。私は慌ててペダルを踏み込み、スマホをポケットの中に戻した。
校門近くになると、同じキャンパスの生徒を大勢見かける。だが私はサークルにも入っていないから、会話はほぼ無いに等しい。私は彼らの横を、突風の如く過ぎ去る。
そして自転車置き場に自転車を置き、鍵とチェーンをしっかり繋ぎ止める。
実はこの自転車は『二代目』一代目の自転車は、。チェーンをかけ忘れて盗まれてしまった。
これにはショックを隠せなかったけど、執筆の題材としては悪くない。けれど、そんな話を横で聞いていた『親友』からは「そうゆう問題じゃない」と言われる始末。
講義を受ける教室のドアを開けると、もう既に大勢の学生が思い思いに活動していた。スマホをいじる生徒、友人と他愛のない話をする生徒達、私はいつも窓際に座る拘りがある。
その拘りに特に理由はない。ただ、外の景色をぼんやりと見ていると、執筆のアイデアが浮かぶ事が多いからだ。
別に誰が決めたわけでもないのだが、無意識にこの場所を自分自身が気に入っているのかもしれない。だからなのか、いつもこの席は空いている。
私は汗だらけになった額を袖で拭いながら、椅子にドスンと腰を落ち着ける。自転車とはいえ、全速力で漕ぐと、息が荒くなってしまう。
今はまだ心地良い気温だからまだマシなのだが、夏は相当辛い。
一応、マンションの近くには大学へ向かうバスが止まる停留所があるのだが、私はなるべく自分のペースで大学へ向かいたい。

それに、『バス』や『電車』の様な、『密閉された空間』に
長い間居られる自信がない

正気を保っていられない

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