幽霊でも君を愛する
「よーっす、三楼。」

「・・・蔵刃(くらは)、いい加減勝手に写真を撮るのはやめろよ。」

「いいじゃんか、SNSにはあげてないわけだし。」

「需要あるのかよ、そんなの。」

彼は 美柚 蔵刃(みゆ くらは)

小・中学校と、クラスもずっと一緒だった、私の数少ない友人。
蔵刃は私と違い、明るくて気さくな好青年。小説に登場させるなら、まさに主人公の立ち位置である。そんな彼が、何故根暗な私なんかと仲良くしているのかは、現在に至るまで分かっていない。
そもそも私は、昔から人付き合いが苦手で、集団行動なんてもってのほか。学校行事ですらもまともな思い出がない。学生の記憶に一番残る出来事と言っても過言ではない筈なのだが。
昔からずーっと本ばかり読んでいた私と、昔からずーっと猪突猛進な彼。いかにも合わない・・・と思われても、全然納得できてしまう。
互い違いな関係に冷やかしを受けた時期もあったけれど、そんな時でも蔵刃はポジティブに、「俺も頭良さそうに見えるだろ」と、ドヤ顔で言っていたのは今でも忘れられない。
自慢にもなってないけれど、そうゆうところが彼の魅力でもある。よく彼の体験談を聞いては、執筆のネタにしている。もちろん本人には話していない。
< 9 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop