これだから、先生はズルい。

窓際の席のわたし。


春は好きで心地いいから窓を半分くらい開けていた。


軽く吹く風が運んできたのは






「……煙草」






の匂い。


この匂い知ってる。






「問5と6を高橋、黒板に解いてみろ」


「なんでわたしなのー!」






当てられなくてよかった。


そんなことを思いながら窓の外を見た。






「なんであんなところで吸ってるんだろ」






誰にも聞こえないくらいに、独り言のように呟いた。


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