これだから、先生はズルい。
先生が煙草を吸っている。
先生の居座っている社会科室のある西棟。
普段教室があるこの東棟とは向かい側にある。
西棟のベランダのようになっている場所で煙草を吸っている先生。
わたしのちょうど真横で吸っているから、目が合う。
先生は長い指の間に煙草を挟んで、口へ運んでは煙を吐き出していた。
視線は真っ直ぐわたしを見つめて。
雲ひとつ無い晴天の中。
春風が吹いては先生の髪の毛が揺れる。
動く絵画を見ているよう。