狂ったのは?
 私はそんな男を見てドキリとした。
 男はモデルをやっているのではないかと思うくらい綺麗な顔立ちをしていた。特に切れ長でずっと見ていたいくらいの瞳が印象的で、私の好みだった。

「……え、あの、どなたですか?」

 少し掠れた声で男が尋ねてくる。男の顔に良くあった低く甘い声をしている。

「あの、私通りすがりの者です。倒れているあなたを見つけて助けたんですよ」
「あー。それはご迷惑をお掛けしました」

< 8 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop