【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 令嬢の社交術は、日常のなかに取り込まれている。

 相手と仲良くなりたければ、服装と家柄を褒めること。
 距離を置きたいなら、手紙の文章を素っ気なくしていくこと。
 そして、言うことを聞かせるためには、美味しいケーキと紅茶で持てなすこと。

 このティータイムは、マリアのように厳格にマナーを叩き込まれた貴族令嬢だったら逃げられない舞台装置だ。

 王妃は、羽根扇をパタパタさせながら、悠々と微笑んだ。

「貴方を召還すると決めた時から、潔白を主張なさると分かっていました。証言者を用意(・・)してくることもね。すでに買収されているかもしれないトラデス子爵令息の証言は必要ありません。私は、貴方の言葉だけを信じます」

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