【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 見かねてマリアは立ち上がった。誰もいないと思っていた令息用の応接間に、よりによって『高嶺の花』令嬢と第二王子が潜んでいたので、二人は驚愕している。

「失礼ながら、お話を聞かせていただきましたわ。パーマシー様は、婚約者であるミゼル様からお金を巻き上げて、不健全な投資をしていらっしゃるようですね」

「不健全などではない。未来ある話に乗っているだけだ! これからアカデメイア大陸中へ、大量の魔晶石がばらまかれるらしい。タスティリア王国では流通していないこれを買い取って、国内で売る事業の一端をになうために、大金を準備して預けておくという立派な事業だ!!」

 魔晶石というのは、ざっくり言うと魔法を使えるようになる石だ。大陸の端にある聖教国フィロソフィーで採れると本で読んだことはあるが、マリアは実物を見たことがない。
 なぜなら、タスティリヤ王国では、魔法全般が禁じられているからである。

「この国では、魔法は使ってはなりませんわ。魔晶石が大陸中に広まろうとも、国内で売りさばくことはできないでしょう」
「それはこれから何とかなる。事業元のスート商会が、禁止を撤回させると約束しているんだからな」

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