【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
「ギャンブル場ではありませんか。この国では、お金や物品を賭けることは、禁じられていますのに」
「だから、隠れてやってるんだ。人前ではご立派に振る舞っている貴族たちも、こういうところに来て憂さ晴らしをしてる。あんたが知らないだけだ」
「嘆かわしいこと……」

 集まっているのは若者が多い。それなりの名家の出と思わしき男性は、仕立ての良いジュストコールをさらしている。
 連れられている女性は皆、流行の小花柄のドレスを身につけているので、マリアが埋没しているのは幸いだった。

 目立たないのは、エスコートしているレイノルドが、それとなく盾になって周囲から隠してくれている効果もある。
 よほどのことが無ければジステッド公爵令嬢だと気づかれることはないだろうが、あまり長居したくない場所だ。

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