【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 現に、国王である父は、兄の方としか面会しない。レイノルドが拝謁するときは、勉強はどうだ、とか、生活は楽しいか、とか、当たり障りのない問いかけに答えて終わる。兄のように膝にのせてもらって会話した経験などなかった。

 国も、兄に継がせるだろう。では、自分は――。

 レイノルドは兄の補佐になろうと思った。双子の弟にしか出来ないこともある。
 たとえば、ティータイムのお菓子は大きい方を兄に譲るとか、悪戯を代わりに叱られるとか。そういう行動をとると、兄はレイノルドを自慢の弟だと誉めてくれた。

 影のように兄に寄り添っていると、周りはレイノルドをアルフレッドの行く先々に同行させるようになった。
 城のそとへの視察、挨拶回りのためのパーティー、名前しか知らない貴族との面会……。

< 71 / 364 >

この作品をシェア

pagetop