【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい
 彼はギャンブル場に出入りするような暮らしをしていたから、あそこで出会わなければ、マリアが生きていく道とはまじわらない人生を過ごしただろう。

(――だからレイノルド様は、こんなにも懸命にわたくしを口説いてくるのね)

「事情を話してくださって、ありがとうございます。貴方が、わたくしを憐れに思って求婚されたのではなくて、ほっとしましたわ」
「では、俺と――」

 婚約してくれるか。その声に被るように、張りのある男性の声がした。

「――レイノルド?」

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