むすんで、ひらいて、恋をして
「卒業式にはたくさんの女の子が押し寄せちゃって、水島くんだけ別の門から帰らされたんだって!」



へえ……。



「芸能人みたいだよねっ」



「そういえば、春宮さんって、水島くんと遠い親戚って本当?」



「ええっ⁈ そうなの⁈」 



はい、きた。



みんなの視線が一斉に注がれて。



「血はつながってないけど、遠い親戚なの」



自然な笑顔で答える。



「水島くんと親戚!!!」



「どれだけ美男美女の血筋なの⁈」



莉生はともかく、私はニセモノだからなあ。



お嬢様のフリをしてるだけのど庶民です!なんて、言えないし。



悩んでいたら、あっという間に、ぐるりと女子に囲まれた。



「親戚の集まりで、水島くんに会ったことはあるの?」



「うん」



こういう時は、余計なことを言わないのが一番。




早めに帰ろう。




笑顔のまま廊下に向かうと、



押し寄せる女子に行く手をはばまれて、身動きとれなくなっている水島莉生とパチッと目があった。



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