むすんで、ひらいて、恋をして
「お前、隙がありすぎんだよ」



通りすがりの上谷が、呆れてぼそりと呟く。



「ねえ、ねえ、水島くん、聞いてるう? すぐ目の前に花音がいるんだおっ。可愛すぎて見えなかったとか言ったら、怒るぞお」



「おい、水島、蛭沼さんが話しかけてるぞ」



わざと無視したんだよ、ほっとけよ。



よりによって、蛭沼の強烈さにクラスで唯一気づいてない米川が、俺の前の席に座ってるとか。



ついてない……。



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