むすんで、ひらいて、恋をして
一緒にいてものすごく気が楽だった。



猫をかぶる必要もなければ、うふふ、おほほ~なんて自分を作り込む必要もない。



世の中にこんなに素をみせられる相手がいるなんて、ホントに驚き。



「そういえば、アリスのクラスって数Aの課題の丸つけ、もう終わった?」



部屋で宿題を終わらせようと立ち上がったところで、莉生に声をかけられた。



「うん、今日の授業で答え合わせしたよ」



「マジで? 教えて!」



「ん」



どんなことも完璧にこなしそうに見える水島莉生は、どうやら、あまり勉強は得意じゃないらしい。



ノートを貸してくれだとか、課題の答えを教えろだとか、よく頼まれる。



お母さんが仕事の日には、莉生がほとんど夕飯をつくってくれるし、莉生の気分次第でお弁当まで作ってくれる。



さすがに莉生に甘えてばかりなのも気が引けて、気が付けば莉生に勉強を教えるよ
うになっていた。


< 24 / 554 >

この作品をシェア

pagetop