ハビタブルゾーン
「ハビタブルゾーン」


私はポツリとその言葉を呟いた。


「こんな言葉、颯人と出会ってなかったら絶対に覚えてないよ」


その時、今まで我慢していた分の涙が一気に込み上げてきた。


歯を食いしばるけど、そんなことは意味もなく、目からどんどん溢れ出てくる。


たったの四ヶ月だけど、こんなにも人を好きになったのは人生ではじめてだった。


颯人に好かれたくて、毎日あなたの好みに近づけるよう頑張った。


だけど、最後の一歩がどうしても踏み出せなかった。


あともう少し早かったら、もう少し努力していたら…なんて今更意味のないことを考えていた。





その後、彼とは話す機会も自然と減り、高校を卒業した今はもう何をしているかも分からない。


けど、時々夜空を眺めては彼との楽しかった日々を思い出す。


「あ、オリオン座」


寒い夜空に堂々と光り輝くたくさんの星座たち。


やっぱり、綺麗だな。


そう思いながら、私は夜空から目線を外した。



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