7歳の侯爵夫人
実は今回の仕事は夜通しの見回りだったためオレリアンは朝まで戻れず、コンスタンスは初めて1人で夜を過ごしたのだ。

ヒース領内は治安が良いとは言われているが、それでも夜の街に出れば少なからず治安の悪い場所もある。
オレリアンは領主としてそんな治安の悪い場所を見回る警備隊に同行していたのだが、当然そんな場所に可愛い妻を伴うわけにはいかないため、必然的にコンスタンスは置いて行かれることになった。

「そんなに寂しかったのか?」
オレリアンは腕を伸ばし、コンスタンスのお下げ髪を手に取った。
だがコンスタンスはツンッと唇を尖らせたまま。
そんな顔も可愛いが、こちらを向いてくれないのは寂しい限りだ。

困ったオレリアンが再びリアの方を伺うと、リアはフーッとため息をついた。
「旦那様。奥様は旦那様が商工会の会長宅にお泊まりになったと思っていらっしゃるようですよ」
リアの説明に、オレリアンは訝しげに首を傾げる。

「商工会の会長?たしかに会長も一緒に街を回ったが、会長宅には休憩に寄ったくらいだぞ?」
「それですよ、それ」
「………?何故、会長宅に行くのが気に入らない?コニーも行きたかったのか?」
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