7歳の侯爵夫人
遠ざかっていく主人夫婦を、ダレルとリアは微笑ましく眺めている。

「このまま平和だといいんですがね」
突然背後から声が聞こえて、振り返るとそこにはいつの間に来ていたのか執事のマテオが立っていた。

「そうですね」
口を揃えて、2人が答える。

リアももうオレリアンを疑う気持ちは薄れていた。
この1ヶ月妻を溺愛するオレリアンの姿を嫌と言うほど見せつけられているのだから。

今のこの幸せが可能な限り続けば良いと、3人共願っている。
だが、この幸せがコンスタンスの記憶喪失が前提という砂上の楼閣だいうことも、わかっているのだ。
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