7歳の侯爵夫人

12

「オレールよ!オレールが見えて来たわ!」

ルーデル公爵邸のバルコニーから乗り出して、コンスタンスは夢中で王太子成婚記念パレードの行列を見ていた。
コンスタンスの後ろからは、ハラハラしながらリアが腰の辺りを持って抑えている。

ここは、コンスタンスの母の部屋である。
ここから見ることを決めたのは、兄エリアスが、この部屋のバルコニーから一番良く見えると言っていたからである。

「ほら見てお母様!あのかたまりの、前から2番目にいるのがオレールよ!」
「はいはい」
ルーデル公爵夫人は娘が指差す方に目を凝らした。

「ねぇ見える?あれが私の旦那様よ!すごく凛々しいでしょ?ああ、なんてカッコいいの?!」
パレードを先導する近衛騎士の一団に夫の姿を見つけ、コンスタンスは興奮しっぱなしだ。

「あまり乗り出すと危ないわよ、コニー」
「あ、こっち見た!オレールがこっちを見たわ!きっと私に気がついたんだわ!」

コンスタンスは夢中で夫に向かって手を振っている。
もちろん、パレードを先導する近衛騎士のオレリアンが手を振り返すわけにはいかないが。

「そんなに興奮して…。頭は大丈夫?痛くなったらすぐに言うのよ?」
「はあい」

公爵夫人は興奮する娘に呆れたように目をやった。
だが目をキラキラさせて夫に手を振る娘を、微笑ましくも思う。
そしてそんな娘を見ながら、先日娘婿オレリアンとした会話を思い出していた。
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