7歳の侯爵夫人
(でももうあの厳しいお妃教育はない。だから、また7歳からやり直すんだ。本来のコニーのままで…)
そう頭の中で念じて、エリアスは妹を振り返った。

現在コンスタンスは家庭教師に付いて、7歳の勉強からやり直している。
ごく平均的7歳の勉強だ。
そして、エリアスが王宮勤めから帰って来るとコンスタンスの勉強をみてやり、今日学んだところをおさらいする。
元々出来が良いからか記憶の片隅に残っているからかわからないが、勉強の進みは驚くほど早い。

エリアスはキュッとコンスタンスの手を握り、彼女を見下ろした。
コンスタンスも兄を見上げ、ニッコリと微笑む。

この先、記憶が戻るのか、コンスタンスがこのまま緩やかに成長するのかはわからない。
でも、両親も、エリアスも、例えコンスタンスが一生このままでも、ずっと公爵邸で過ごせばいいと思っている。
ましてや、あの冷たい夫の元へなど、戻すことはあり得ない。

ー今度こそ、守ってみせるー

エリアスはコンスタンスの手を、再びキュッと握りしめた。
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