7歳の侯爵夫人
ルーデル公爵も、この先の話をすることを少し躊躇っていた。
こうして説明するのは2回目。
前回は7歳だったからどこまで理解していたかはわからないが、それでも彼女は現実をすんなり受け止めていた。
だが今回のコンスタンスは、家族が心配していた通り、衝撃を受け、憔悴し、先程から嗚咽が止まらない。
娘を抱きしめる公爵夫人も震えている。

17歳で婚約解消されたあの時も、ここまでではなかった。
あの時は隣国から持ち込まれた縁談に貴族たちが意見を戦わせ、決定するまでに少し時間があった。
仕方がないと、王太子を諦めるための時間が、少しは用意されていたのだろう。

だが、今回は全く違う。
もうすでに婚約解消して、自分は人妻になっているというのだから。

昨日までフィリップしか見ていなかったコンスタンスにとって、到底受け入れられるものではない。
未来の王妃となって、一生フィリップに寄り添い、手を携えて、国の為に献身的に働いていこうと心に誓っていたのだから。
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