7歳の侯爵夫人
王妃はフィリップを見ると、
「コンスタンスとの話がついたら呼びにやるつもりでしたのに…」
とため息をついた。
コンスタンスの説得が無事済んだら、フィリップに会わせる魂胆だったのだろうか。

フィリップの変わらぬ姿を目の当たりにして、コンスタンスは悲し気に目を伏せた。
つい先日まで慕っていた相手であっても、もうすでに人の夫なのである。
そして、自分も人妻なのだ。
そのことを、絶対に忘れてはならない。

目を伏せるコンスタンスを見て、フィリップは彼女の頤に指をかけ、クイッと持ち上げた。
「私を見て。コニー」
コンスタンスは間近に迫ったフィリップの顔を見て、瞳を揺らした。
そこには、ずっと婚約者として寄り添って来た男の顔がある。

だが、自分は人妻なのだ。
絶対に動揺を悟られてはいけない。
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