7歳の侯爵夫人
王太子殿下の成婚式の日、私はパレードを見るためにお母様の部屋のバルコニーに行ったの。
そこが一番良く見えるよってお兄様が教えてくれたから。

フィルを見たかったのかって?
全然違うわ。
私はオレールを見たかったの。
だってオレールはパレードを先導する近衛騎士の中にいるんだもの。

オレールが見えた時はね、それはもうあまりにもカッコよくって、フラーッと倒れそうになったわ。
もうね、ステキな騎士様たちの中でも、オレールが一番輝いてて、一番ステキなんだもの。

パレードを見に来ている人たちみんなに自慢したかったわ。
あの一番ステキな騎士様が私の旦那様なのよって。
パレードを見に来た女の人たちみーんなオレールに見惚れてるけど、オレールは私の旦那様なんだからね?

でもね、オレールが見えなくなってフィルが乗っている馬車が見えた時、突然頭が割れるように痛くなったの。
痛くて痛くて、オレールに抱きしめて欲しかったんだけど、オレールはいなくて。
それで、痛いのがおさまってきたら、今度はものすごく眠くなったの。

でも、眠りたくないな。
だってオレールが帰ってきたら、「すごくカッコ良かった」って言ってあげたいんだもの。
抱きついて、ほっぺにチューしてあげたいの。
そしたらオレール、喜んでくれるかな。
私をギュッと抱きしめて、ほっぺじゃなくて、お口にチュッて、してくれないかな。
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