7歳の侯爵夫人
そのまましっかり手を繋いで歩き出した彼女に、オレリアンは狼狽える。

「待ってくれ。私は貴女との面会を拒まれている。こんなところを見られたら…!」

しかしコンスタンスは彼の手を離さない。
「それ、おかしいと思うのよ。だって旦那様と私は夫婦なのでしょう?どうしてお父様やお兄様は会っちゃダメだって言うのかしら?」
「しかし…!」

ただでさえ会わせてもらえないのに、庭に忍び込んで隠れて見ていたなんて…、しかも一緒に遊んだなんてことが公爵にバレたら、今度こそ完全に出入り禁止になってしまう。

「ちゃんと、義父上の了解を得て…!」
そう訴えながらも、オレリアンは妻の手を振り払うことが出来なかった。

こうして彼女と手を繋ぐなど、おそらく初めてのことだろう。
彼女の手は華奢で柔らかく、そしてあたたかかった。

「…コンスタンス嬢…」

ポツリとこぼしたオレリアンの呟きに、コンスタンスが立ち止まって振り返った。
そして、不思議そうな顔でオレリアンを見上げる。

「旦那様は、そんな風に私を呼んでいたの?」

それは、妻を呼ぶ夫には相応しくない呼び方だ。
オレリアンは言葉を発しようとして、しかし、口を噤んでしまった。
正直、ほとんど妻を呼んだことなどなかったから。
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