7歳の侯爵夫人
マテオは元々伯父の代から仕えていた執事で、養子に入った俺とは関わった年月も浅い。
俺が領主になってからのマテオはほとんど領地にいて王都には時々しか来ないため、余計に俺とは滅多に顔を合わせなかった。
だが、突然一介の騎士から領主になってしまった俺を支え、導いてくれているので、その仕事ぶりから彼の有能さは十分わかっている。

マテオは、敢えて今まで俺の私生活には全く口を出してこなかった。
セリーヌと破局した時も、義母が俺に言い寄っていることも知っているだろうに見て見ぬ振りを貫いていた。
そこには、仕事上はともかく、俺との信頼関係がきちんと築けていなかったこともあるだろう。
いつまでも伯爵家に馴染めなかった俺自身にも問題があるのだが、養子に入った俺としては、負い目もあり、使用人にも下に見られているような卑下する気持ちがあったのである。
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