許されるなら一度だけ恋を…
「私、蒼志に想いを伝えました。なんか思い描いたような告白じゃなくて、勢い任せに言ってしまったんですけどね」

「そうですか。頑張りましたね」

「蒼志もはっきり付き合えないと言ってくれました。失恋したらもっと落ち込むかと思ったけど……どうしてかな、思ったより平気みたいです」

ヘラっとした私の表情を見て、奏多さんは私の頭にポンと手を乗せ、前髪をサラッと揺らしながら顔を覗き込んできた。

「まだ実感がないのかもしれませんね。僕は席を外しましょうか?」

「あっいえ……ここにいて下さい」

何だか一人にはなりたくなかった。だから私は奏多さんについて来たのかも。

「じゃあ……僕が胸を貸しますよ」

「えっ?」

奏多さんは優しく私を包み込むように抱きしめた。もちろん突然の事に私は頭が真っ白になっている。

「か、奏多さん?」

茶室(ここ)には俺しかおらんし……泣いてええよ」

奏多さんは私の耳元で囁くように言う。その言葉を聞いてホッと安心したのか、私の頬に一筋の涙が伝う。

「ごめんなさい奏多さん。少しだけ……少しだけ胸をお借りします」

私はヒックヒックと肩を震わせながら、奏多さんの胸に顔を当て涙を流した。まるで蒼志への気持ちを涙と一緒に外へ出すかのように……
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