保健室で、君と最後のキス
こちらの方を見て小さく手を振っている。
その姿を見て気づいた。
「八神くん!?」
「おはよ、莉奈早いね」
車から体を出して挨拶をしてくる八神くん。
中の人に軽くお礼を告げると、扉を閉め私の元へと歩いてきた。
「一緒に行こ」
ニコッと笑顔で私の顔を見つめる八神くん。
「う、うん」
昨日まで正体不明だった人と肩を並べて登校してるなんて、なんだか不思議な気持ち。
「さっきの人、日向?」
「え?」
「ニケツしてた人」
「あ、う、うん」
まさか八神くんに見られてたなんて!
昨日あれだけ喚いた相手を見られると、恥ずかしさと気まずさがある。
「へぇ、あーいうのがタイプなんだ」
ニヤリと口角を上げ私を横目で見てくる八神くん。
この男…分かってて言ってる辺りが憎たらしい!
「そーですけどなにか!?」
鼻息を鳴らす勢いで言い返す。
もう開き直るしかなかった。
ムッとしながら腕組みをして反対側を向いていると、右の頬に何か固いものが触れた。
そちらを向き直すと、八神くんが丸い棒付きキャンディを差し出していた。
「これあげる」
「あ、ありがと」
受け取ると、八神くんは「一番好きな味」と言った。
淡いピンク色の包装に小さく書かれた文字は、いちごミルクだった。