推しの子を産んだらドラマのヒロインみたいに溺愛されています(…が前途多難です)

***

「ユウヒさん、帰りの飛行機なんですが最終便に間に合いそうです」

「……それなんだけど、俺こっちにもう一泊していこうかな」

 地方でのながい撮影が終わった。これでようやく東京に帰れる。けれど俺は気が重かった。まひるは俺の事なんて待っていないってわかったからだ。

三日ほど前、秋山が事務所を辞めた。海外留学すると聞かされたけれど、拭いきれない違和感があった。

そしてついさっき三田社長から送られてきたメールですべてがつながった。

添付されていたフォルダーを開くと数枚の写真があった。

うちのマンションの前で抱き合う男女。よく見るとそれはまひると秋山だった。

仲良く買い物をする二人と、そしてもう一枚。布団で眠っているまひると一緒に映っている秋山の自撮り写真。

俺は愕然とした。

でもなんとなく予感はあった。そうあのカレーだ。温めなおして食べようとキッチンへ行った時、大人用の皿とスプーンが二つあったから。

食べたのは秋山かもしれないと疑っていたが、完全に黒だろう。

あいつは俺の留守中にまひるに手を出していた。まひるもまひるだ。俺のことを好きだといいつつ、そばにいる男に平気でなびく女だったなんて。

もしかしたら朝飛も俺の子供じゃないかもしれない。

そう考えて全身がゾワリと粟立った。

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