それでも、精いっぱい恋をした。


明日も、だけじゃ足りないかもしれない。だけど、きっと、あかねくんは自分で決めたことは、がんばれると思う。



「はるき、今日まで、ありがとう」


別れの言葉に似ている、けど、そうじゃない。


「こっちこそ…ありがとうだよ」


その気持ちでいっぱいだ。


「はるき。明日も、がんばろう」


あかねくん。

きみを好きになって、わたし、がんばらなきゃいけない自分に気づけた。


がんばりたいって思ってた自分に、気づくことができたんだよ。



レッドボーイを迎えに行こうと思っていたからいいって言ったのに家まで送るって…明日はバス通学しなきゃ。

意識しないようにしたかったんだけど、それでも、どうしても、来るときよりも静かに家路を歩いた。


家に着いたら、しばらく会えない。

しばらくっていつまでだろう…聞いてみようか…いやそんなこと聞くのは野暮だよなあ。


わたしにできることは、あかねくんの思い描いていることが実るように精いっぱい応援すること。ただそれだけ。


わかってるんだけど、でも、淋しいよ。

だけどそんなこと言えないよなあ。はずかしいし、言えるような関係じゃねーし。


「はるき、家過ぎちゃうよ」

「あっ」


その言葉に立ち止まる。いつの間にか家の前だし。


「ぼうっとしすぎ」


…誰のせいだよ。


とは、やっぱり言えない。あかねくんのこと信じてるし、応援したいから。


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