それでも、精いっぱい恋をした。


日曜日は遊べなくなった、と言うと大批判を浴びた。これはたぶんだけど、あかねくんと会うってバレてるんだと思う。


先にしていた約束を放棄するなんて確かに最低行為だけどさあ…でも!こいつらは毎日会えるし!わたし、あかねくんのこと、好きになっちゃったし!しょうがなくね?わかっるなら目つぶれよって感じ。


でもまあ本気で怒ってない様子だから助かったけど。わたしがいてもいなくてもどっちにしろこいつらは楽しめるだろうし。

だけどユズだけは何も言ってこなくて、ちょっと、どうしてかな、切なかった。



日曜日、10時の時計塔の下。近所での待ち合わせなのに2時間前に起きて身支度しちゃった。はりきりすぎて笑える。

10分前にそこに行くとすでにあかねくんの姿があった。


……かっこいい。


制服じゃない、私服姿。ベージュのポロシャツにゆったりしたシルエットの黒いパンツ。シンプルなのにかっこいい。気取ってないのに品があって似合ってる。

あんなにかっこいい人種が待ってるのがわたしって…神様はおかしくなっちゃったのかもしれない。


きんちょう、する。

今日って何?ただの遊び?べんきょー会なんて言うなよ?……デート、の、つもりで、わたしはいる。あかねくんはどうか知らないけど。


いやでもデートなんておこがましいよなあ。

とりあえず深呼吸。だって、日曜日に会えるなんて。待ち合わせするようになるなんて。


しないように心がけたってどうしても期待してしまう。だってあかねくん、わたしに、優しくしてくれるし。


「はるき、どうしたの」

「わあっ」


ちょっと目を離して深呼吸していた隙に彼がわたしを見つけた。なんで見つけるんだよ!


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