哀しみエンジン



その風景を、離れたところから眺めていた。

つい先程まで、受付役をしていたが、交代休憩に入っているところだった。

出店のテントが見える位置にある花壇に、1人腰を下ろし、たった今まさに疲労を実感する。

少し強めの溜め息を吐いたら、遠くからこちらにやって来る女子2人の姿を見つけた。

清水さんと、俺と同学年の椿さんは仲が良いらしい。

椿さんは、清水さんに寄り添うように歩いている。

そして、どんどん近付いてきて、俺の正面までやって来た2人は、たくさんのペットボトルを抱えていた。



「お疲れ様。どれがいい? 自治会長さんから差し入れに、って戴いたの」



抱えられている物は、緑茶やコーラ、オレンジジュースにスポーツ飲料など、やたら種類が多い。

あまりにも種類が揃っていると、本当に欲しいものは分からなくなる。

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