音楽はいつも一緒に
「あんた、なんでそんなに眠そうなの?」

 朝、制服を着て荷物を持って朝食を求めにリビングに行った瞬間、私の顔を見たお姉ちゃんに言われた。

「ちょっと……眠れなくて」

「なに? なんか興奮でもしてたわけ?」

「えっと……まあ、いろいろと」

 なんとなくうとうとし始めたと思ったら、外は明るさを持ち始めていた。

 結局、眠りと意識の半分くらいのところを行き来しているだけで、深い睡眠に入ることができなかった。

 でも、こうして制服を着てあと数十分で家を出ようとしている今、眠気よりも期待のほうが勝っている。

 多分、いや、絶対に松田くんでいるのは間違いないはずだけど、それでもその姿をこの目で確認するまでは心の石がずっと落ちない。

 いつもより早めに朝食を食べ、歯を磨き、よしっと頬を叩いて気合を入れて家を出た。

「はあ、やばい」

 心の声が、口から出る。

 はやる気持ちをおさえて、きゅっと口元に力を入れて一歩一歩着実に学校へと向かう。
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

好きになっちゃ、だめでしたか?
佐倉苺/著

総文字数/101,903

恋愛(純愛)131ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
多分、彼は間違えて告白している。 王子様のような見た目の神山春樹に告白された上野留衣。 留衣を幼い頃から見守る大野蒼。 それに、もう1人の【るい】である花坂るい。 4人の想いが交差する。
嫌いなあいつの婚約者!?
佐倉苺/著

総文字数/85,941

恋愛(ラブコメ)161ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
朝、目が覚めたら別の世界にいて 嫌いなあいつの婚約者になっていた。 どうにかして婚約を解消しようとするけれど……。
妖の木漏れ日カフェ 人間界編
佐倉苺/著

総文字数/1,593

ファンタジー3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
人間界に戻ってきてから2年半。   大学合格を無事に果たし穏やかな時を過ごしていた今日この頃。 狼出現のニュースに、近所にできたハーブティーのカフェ。 これはもしかして……!? 『妖の木漏れ日カフェ』の続編です!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop