LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「こいつはもう辞めたんだ。
二度と、話し掛けて来んな」


篤はそう言って、私の手を引きその人達から引き離すように歩き出す。



「え、辞めたって…。
けど、俺DVD買ったから、いつでも観れるけど…」


その人は、空気が読めないのか、
そう口にしていて、それが耳に届く。


篤にも。


篤は多分とても腹を立てているのだろうけど、
こんな人の多い場所で私を連れてキレないように、抑えてくれているのだと思う。


こんな場所で揉めたら、人の注目を集め、さらに私は人の目に晒される。


AV女優なのだと。




「篤、先に家に帰ってて」


「あ?」


私のその突然の言葉に、とても怒っている。


その怒りは、さっきの人達への怒りなのだろうけど。



「髪切って帰ろうと思って。

髪型変えたら、多分私だってあまり気付かれなくなるし」


「分かった…」


そう言った篤は、少し私に申し訳無さそうにしていて、
なんだか胸が苦しくなった。


別に、私が元AV女優で、こうやって誰かに気付かれた事は、篤のせいじゃないのに。


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