LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
夕食が終わる頃、ピンポーンとチャイムが鳴って、
その来訪者に心当たりのない私達は顔を見合わせた。


「セールスか?
俺が行くわ」



篤はそう言って立ち上がり、玄関の方へと歩いて行く。


もしセールスならば、私よりも篤が行く方がいいだろうな。




玄関を開けた篤は何かを怒鳴っていて、
女性のような笑い声。



なんだか、胸がモヤッとした。



その女性は篤の制止を振り切り、
リビングへと入って来た。


その女性は思わず息を飲む程の美女で、
同性でも一目惚れしたように呆然としてしまった。


歳は20代後半くらいだろうか?




「なんでここが分かったんだ?」


篤は怒鳴るようにその女性に言っていて、
篤の知り合いみたいだけど…。



「鈴(すず)から聞いたの。
あんた、あの子にここを借りる時に保証人になって貰ったでしょ?」


その人が口にした鈴は、大晦日篤の部屋で私も会った、
篤の下のお姉さんの名前。


て事は…。


「篤のお姉さん?」


多分、この女性は一番上の篤のお姉さんかな?


「あら、この子いい子じゃない」


そう笑いかけられて、ドキッとしてしまった。



「お前何の冗談だ。
このババアは俺の母親だ」



その、篤の母親だと言う言葉に、
開いた口が塞がらないくらいにビックリした。

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